モバイルショッピングは「カテゴリ検索」でのECサイト発見が重要

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株式会社medibaによるとても興味深いマーケティングリサーチ結果がITproResearchからリリースされていたのでご紹介。

携帯ユーザーは「カテゴリ検索」でECサイトを発見、男性はPC経由、女性は雑誌経由が多い

medibaは3月4日、携帯電話向け通信販売(モバイルEC)サイトの利用動向に関する調査結果を発表した。それによると、モバイルECサイトで過去6 カ月以内に商品を購入した20―40歳代au携帯電話ユーザーのサイト認知経路は、「auカテゴリ検索」経由が約35%で最も多かった。

この調査は、調査自体と調査結果の分析がしっかりしているのは勿論のこと、その調査結果が非常に興味深いものになっている。

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調査概要は以下の通り。

■ 調査概要(本文より引用)
・調査方法:mediba保有会員(au携帯電話ユーザー)に対してモバイルで調査
・調査対象:20代・30代・40代の男女で過去6ヶ月以内にモバイルECサイトの購入経験がある方
・調査目的:モバイルインターネット利用増加に伴い、モバイルEC市場は2008年度で1兆円を超える市場と推定されている。モバイルECをモバイルユーザーの生活者視点にから調査を実施し、更なるモバイルECサイトの成長の一助となるデータを展開することを目的として本調査を実施する。
・調査地域:全国
・調査期間:2009年1月27日~29日
・有効回答数:600人(20~40代までの性年代別各セル100人)

尚、この調査は日経BPの日経ネットマーケティング部門と共同で実施されている。

この調査では調査母数の年代が20~40歳代と互いに比較できることと、各性年代別の回答者数が充分な数である。この点で先日のリサーチは調査としての信頼性が低いものとなっていた。

また、ITproの記事はmedibaのプレスリリースの単なるコピペ部分は少ないものの、やはり自身でそのプレスリリースを読み解いてちゃんと文章を作れていない点は残念感がある。

さて、本題。

medibaのニュースリリース(≒調査報告書)はこちら(pdf)

調査主体がmedibaなので調査対象・方法が「mediba保有会員(au携帯電話ユーザー)に対してモバイルで調査」となっているため、必然的にauのインフラに依存した購買動向となっている。
しかし、それ以外にはキャリア別の傾向の差はおそらく少ないと思われる。

その上で、
「1. モバイルECサイトへの認知経路(性別間での違い)」はこの調査で最も興味深い結果に感じられる。これはプレスリリースの図1に書かれていることだが、ITproは説明してくれている。

「auカテゴリ検索」経由のモバイルECサイト認知に大きな男女差はないが、「パソコン向けECサイト」経由でモバイルECサイトを認知したという回答は男性が25.7%、女性が14.0%で大差となった。

一方、「通販雑誌/広告」経由の認知率は男性が3.3%、女性が17.0%で男女の傾向が逆転した。そのほかの認知経路は、「携帯電話からのインターネット」(約25%)、「携帯電話向けメールマガジン」(約17%)が多かった。

幾分は予想される結果ではあるが、これはECサイト運営者にはすぐに役に立つデータだろう。
商材によって、男女別のターゲットへの効果的なアプローチ手段が明確に異なることが数字で明らかにされた。

一般コンシューマ、携帯電話利用者にも興味を持って読んでもらえる内容だと思う。

おそらくは、内部では性年代別の傾向まで分析していることであろう。

続く「2. モバイルECサイトへの認知経路(買物頻度での違い)」は
「買物頻度が高頻度な人*1ほど、携帯インターネットを多く利用する傾向にある。」という当たり前すぎる結果だった。

「3. 利用料金と決済方法」は「銀行振込」と「ネット銀行」の違いが不明確であることが残念。どちらも銀行であり、決済方法は振込みであり、旧来の銀行でもネットバンキングは出来るし・・・、そしてそれらを分ける規準も明記されていない。
また、その他の結果はECサイトに関わる方には既知のことで、目新しいものではなかろう。

「4. 買物頻度と利用金額の関係性」は本文が説明不足なので言及できない。
「平均利用金額」は何を指しているのかが明確でない。
つまり、この文脈からは
・一回の購買の平均単価
・一定期間(期間も明確でないが)の消費金額
なのかが分からない。

プレスリリースの3ページ目に「調査内容」(アンケート項目?)が書かれているが、そこに購入金額に関するものはQ7の「最高購入金額」だけだ。
それなのになぜ「平均利用金額」なるものを論じられるのだろうか。

同4ページに「補足資料」として「利用料金のウェイト値の算出方法」が表として掲出されているが、書かれているのはアンケートの「最高購入金額」の選択肢となったであろう金額にウェイトを恣意的に付けたものであって、これで「利用平均金額」が算出できるはずがない。

この部分は、この調査に対して不信感を抱かせるものである。

この調査の全体としては非常に面白い結果を導き出しただけに残念至極である。

と最後に不満を述べてしまったが、ヘッドラインの内容はとてもいい切り口で面白かった。

モバイルの分野はマーケティング対象として非常に興味深く、ますます重要になっていく分野です。

今後とも、質の高い調査・リリースを期待します。


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