このところ、しきりにWEBアクセスのフィルタリングの必要性がマスメディアで説かれている。子供たちを有害情報から守れ、というものだ。
しかし自分はその風潮に非常に違和感を感じる。つまるところはリテラシーの問題であって、それを大人が子供達に学ばせることができるか否かということだ。それはインターネット固有の問題ではなく、デジタルであろうとアナログであろうといかなるメディアにも共通する問題である。
それをことさら大袈裟に“青少年インターネット規制法案”などとは・・・。
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さて、そんな折に、インターネットを黎明期から引っ張ってきたWIDEプロジェクトが動いた!INTERNET Watchによれば、
WIDEプロジェクトでは、自由民主党において検討されてきた「青少年の健全な育成のためのインターネットの利用による青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案」が、今国会で提出されようとしており、法案では有害情報から青少年を保護するため、1)内閣府委員会での有害基準の策定と主務大臣の行政命令、2)Webサイト管理者に対する有害情報の削除義務、3)携帯電話会社に対する未成年フィルタリングの義務化――の措置を講ずることとしていると説明。それぞれの点について、問題点を指摘。法案については「断固反対する」としている。
法案については、政府が何が有害な情報であるかの基準を設け、行政命令権を持つことは、情報空間における多様な可能性を排除することにつながり、情報社会の健全な発展を阻むものだと指摘。有害情報の削除義務を設けることについても、国民が有害と言われる情報に関して例を挙げることすらままならない状況を生むことになり、セキュリティ管理の観点からは、攻撃対象となるサイトに執拗に「有害情報」を書き込むなど、新たな攻撃手段を攻撃者に与えることになるとしている。
とのこと。
まさしくその通りだと思う。闇雲に情報を遮断することで解決できるはずもないことは明らかである。某国の様な情報操作社会さえ思い浮かべてしまう。
尚、WIDEプロジェクトのプレスリリースはこちら。
子供だけの情報空間を作ることも危険だ。そこは悪意を持つ者にとっては絶好の狩場となってしまう。つまり、子供に成りすましてその空間に入り込めばよいのだから。
また、学校裏サイトが社会問題視されている。これはその空間に子供しかいないことが原因のようにされることがあるが、実は子供達の情報リテラシーや道徳心、良心等の、大人が施す躾や教育の問題であって、インターネット固有の問題ではない。
自身がインターネットに充分に触れていない(または情報リテラシーが低い)人間がインターネットという情報空間を”取り締る”ようなことを考えることこそ危険と感じる。
思い出してみればWIDEプロジェクトだけでなく、それ以前にも同様の動きがあったことだ(自分にとっては「WIDEプロジェクト」というだけでインパクトを受けてしまうので・・・)。INTERNET Watchが纏めてくれているのを引用しよう。
●MIAUなど12の団体・個人が“青少年ネット規制法案”に反対声明
●マイクロソフトやヤフーら5社、“青少年ネット規制法案”に反対表明
いずれもインターネットの普及に尽力してきた団体・会社だ。このように主張を覆すだけの論理は「青少年の健全な育成のためのインターネットの利用による青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案」にはない。
自民党の面々の何割がこのような反発の意味を理解できているのだろうか。
便乗して、無用な情報管理強化までされるような気までして、少々恐ろしく感じている。
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青少年インターネット規制法案
だいたい、ハローワークという公共機関でさえ、違法雇用の情報の削除をしきれていないだろう。全ての情報から完全に違法・有害な情報を隔離することはできないし、違法かつ有害と言われる情報のみを削除するのも、また容易でない場合も少なくない。
http://blog.livedoor.jp/labour21/archives/51278474.html