地方自治体・・・平たく言えばお役所の情報発信や広報活動と言えば、「どこに情報があるのかわからないよ!」とか「これ見ても意味がわからないよ!」とか、そんな体験は誰もがしているはず。
さすがに行政側でもそれをなんとかしようとする動きはあって、実は茨城県はこの点で一歩先を行っています。その立役者が取出 新吾さん。以前よりブロガー界隈でのお付き合いがあり、このたび出版されたとのことで献本をしていただました。
かねてよりその見識には一目置いていたのですが、読んでみればやはり「なるほど!」な話題・情報が多く、行政の広報的な情報発信をしている人には(情報発信全般に関わる人にもだけど)必読なのではと思い、書評的にまとめてみました。
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取出さんは長くインテルで活躍された後に茨城県の広報監へ就任して現在に至ります。
代表的な成果としていばキラTVの成功(いばキラTV(公式) – YouTube、いばキラTV – Facebookなど)が目立ちますが、ねば~る君のプロモーションにも一役買っていますね。
本書から強く感じ取れることは、日常の様々なお知らせから災害時の緊急連絡まで、地方自治体から受け取る情報は多岐にわたり、しかも他では得られない重要な情報なのに、それが充分に活かされていないのはなんとかしないと!という、広報とか情報発信に携わる人は本来的に持っていて当たり前のはずな感覚。
現場に埋もれてしまうと当たり前のことなのに気が付かなかったり、(やる気が無いとは言わないけれど)お役所的には制約があってできなかったりすることが多くありますが、その中でこれをなんとかしていこうとする方のための知恵のような、そんな内容です。
基本的には、これまでの行政の広報の現実を踏まえて、今後はよりITをうまく活用することが重要というスタンスです。現在のトレンドとしてSNS・動画配信(Youtube)にページが多めに割かれており、そこにまとめられている数値データは誰にとっても参考になるはず。併せて、広報誌(紙)としての存在や、キュレーションの可能性、ブロガーとの協業などにも触れており、今後の行政広報を考える上でのヒントが散りばめられています。
本書は茨城県の現役広報監としての立場であり、その点で注目されると思います。しかし、取出さんの茨城県の広報監としての活躍は、情報通信産業での業務や本人自身のブロガーとしての活動などの経験があってのことです。もちろん本書の執筆にもそれらは活かされていて、より現場や住民、それらを繋ぐメディアの立場を汲みとっての内容であることに、本書の価値があると思います。
また、考え方だけではなく数値データも記載されていることは、行政組織内で「これからはこんなことをしよう」と動く際の説得材料や指標にもなるはず。
行政の広報が行う情報発信は「住民にとって何が必要か」「そのために広報は何をするべきか」が大切と自分は考えています(お役所の広報などを見るにつけ常々思います・・・)。行政分野にかかわらず、広報業務全般の基本的な考え方・知識として身につけておくべき内容です。それが明快に示されている本書は関係者に広く読んでほしいと思います。特に「初めて広報業務やります!」とか「ベテランだけどこれからの広報のあり方を考え直したい」みたいな人にオススメです。
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