音楽配信は、レンタルや中古CDの代替として普及する

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昨年あたりから段々盛り上がり、アップルのiTunesMusicStoreの日本上陸で遂に火がついた感じの「音楽配信」。しばらく前までは、音楽配信が普及することでCD(=音楽コンテンツ)の売上が減る(=音楽産業衰退)との論が多かった。それが、コンシューマーのニーズに後押しされる形で、いくつかの音楽配信(=ダウンロード販売)がすでに始まっている。CD販売は年を追うごとに減っているのは事実だ。でもそれは、レンタルや違法コピー(配布)の影響が大きい。では、これから音楽産業はどうなっていくのだろうか。

そんな音楽配信について、オリコン社長小池恒右氏がIT Proで的確な分析と戦略を語っている。「さすが識者」と思わせる切れのよさだ。ちなみに、オリコン社自身も昨年から音楽配信事業を始めている。

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まず、オリコン社自身の音楽配信については、

Q.なぜ音楽配信サービスに取り組みだしたのか。

A.狙いは3つあります。「エルダー層の開拓」、「旧譜の活性化」、そして「対価がきちんと支払われないコピー楽曲の駆逐」です。

と整理し、以下のように説明している。

「エルダー層の開拓」については、

アルバムを買うまでではないけれど、1、2曲欲しいなと思っていた普通の若い人だったら、レンタルを利用する。エルダー層は必ずしもそうではない。レンタルはちょっと、と躊躇する人でも音楽配信なら買っていただけるはずです。気軽に1、2曲ダウンロードする人が増えてくると思うんですよね。

「旧譜の活性化」については、

音楽配信なら、CDショップの棚に置けなかったような幅広いラインナップが実現できる。どのお店も、棚におけるのはだいたい100アーティストなんですよね、。この数が200とか300になれば、そのなかに必ず聞きたいものが出てきます。普段ジャズやクラシックに触れない層でも、数曲の試し買いで気軽に新たなジャンルへ手を出すことができます。こうした相乗効果も狙って、ラインナップを増やしてカタログを活性化していきます。これをしないと音楽産業はどんどんシュリンクしちゃいますので。

「対価がきちんと支払われないコピー楽曲の駆逐」については、

これだけコピーをとるのが簡単な時代に、レンタルの制度は旧来のままきている。CDというパッケージテクノロジーの時代は終わってるんですね。次世代メディアに移行してなきゃおかしかった。ところが、(著作権管理の強固な)SACDにしてもDVD-Audioにしても、スタンダードになることなく皆素通りしそうな感じです。裸のままコンテンツを流通させてるエンターテイメントはCDしかない。
~中略~
プロテクトはかけて当たり前と思いますが、よりセキュアなメディアを導入するのも当面難しい。まだしばらくはCDの時代が続く。となるとやはり問題は、レンタルからの対価なんですよね。いったいここからいくら回収できてるんですかという。
~中略~
我々が音楽配信を始めたきっかけはまさにそこに理由があります。対価の支払われるディストリビューションである、音楽配信こそがレンタルを駆逐していくと考えたのです。

ここまではっきりと音楽配信のメリット・目的、また音楽産業の今後のありようを論じたものは初めて見た。「消費者のニーズがあるから」のような「仕方なく」論ではなく、「音楽産業が健全に成長を続けていくための音楽配信」を語っている。

iTunesMusicStoreが日本でもサービスインし、PodCastingもプライベートな放送局的に新しいメディアとなりそうな勢いで支持されている(このseesaaブログでも対応サービスがあるね)。
「1曲づつ買いたいなー」なんて以前から思っていた自分は、一昨年からダウンロード購入をしている(オリコンからは買ってないけど)。「やっとそういう時代になったかぁ」とうれしい限り。

これが継続的に産業として成長していけるように見守っていきたい。

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