博報堂生活総合研究所から出された放電コミュニケーションなる造語を生み出したプレスリリースをご紹介。
博報堂生活総合研究所では、1981年から年末に翌年以降の生活者動向を発表している(ニュースなどで目にされた方も多いだろう)。2006年の生活予報では、新しいコミュニケーション形態とそれを活用する人々の生活に焦点をあて、キーワードとして「放電コミュニケーション~自己を活性化する生活者たち」を以下の様に提案している。
博報堂生活総合研究所では、1981年から年末に翌年以降の生活者動向を発表しています。このたび、その25冊目にあたる2006年版生活予報を発行する事になりました。今回の生活予報では、情報社会の進展によって生まれつつある新しいコミュニケーション形態とそれを活用する人々の生活に焦点をあて、キーワードとして「放電コミュニケーション~自己を活性化する生活者たち」を提案しています。
インターネットや携帯電話の普及に伴い、生活者の情報環境はこの10年の間に大きく変わってきました。それまでは、マスメディアから一方的に情報を受け取るだけだった生活者が、ホームページを通じて情報発信したり、メールによって双方向コミュニケーションすることが可能になりました。今回当研究所が調査したところ、いまや「テレビ・人・パソコン」が生活者の3大接触メディアになっていることがわかりました。
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さらに「これまでのホームページの形態は生活者からの一方的な発信であり、メールは1対1を基本とするコミュニケーション」であったとし、ブログやSNSは「生活者が世の中と双方向にコミュニケーションすることを実現した新しいコミュニケーションツール」としている。この双方向のコミュニケーションを「放電コミュニケーション」と名づけている。
また、
- 「テレビ」、「人」、「パソコン」が3大接触メディアになってきている
- ブログ・SNSの記入や、ホームページの更新をしている「放電生活者」は22.1%
- 情報化が進展した社会のイメージは「明るく」「楽しく」「便利」だが「人間関係が 希薄になり」「不安」
と、放電コミュニケーションをする生活者を特徴付けている。
また、このリリースの原文を見ると「放電コミュニケーション」を次のように定義づけている。
- ・ブログやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)といった新しいコミュニケーションツールを使った「生活者と世の中の双方向」のコミュニケーション
- 「思いついたときに(非同期)」、「なにげなく(非意図)」、「形式にこだわらず(非定型)」、日常生活のちょっとした発見や感動(生活表現コンテンツ)を広く世の中に開示する
- ちょっとしたことを表現したことに反応があることに刺激されて、自分の生活に敏感になり、生活が活性化する。(自分活性化回路)
しかし、このネーミングはなんともセンスを感じないなぁ・・・。的確だとも思えないし。自分、あるいは先日に参加したジャパンブロガーカンファレンスの参加者にしても、「放電」感は感じないな。単語の選択が間違っているような気が・・・。
「45歳+の光と影」さんは以下のように述べている。
放電というと高い電圧をかけ、一気にエネルギーを放出という印象が拭いきれないので、この放電コミュニケーションというのは個人的にはなじみません。ブログとかホームページによる個人の情報発信は一時的かつ瞬間的なものではなく、細く長く、光の染み出しあるいは微弱電流の漏洩のように感じていました。
まさしく同感だ。うまい表現だなぁ。
自分も放電コミュニケーション層のはずだが、自分としては特別なことをしているとは思っていないし。どうしても、ここで表現された生活スタイルをとる層よりも二回りくらい上の世代ががんばって文章として可視化したリリースのように感じてしまう。
今更、改めて双方向コミュニケーションとか言われても、もう普通のことだし。
尚、以下のようにこの調査は行われたそうだ。
調査地域:首都圏40km圏、京阪神20km圏(周辺市町村を含む)
調査対象:15~59歳の男女(高校生以上)
サンプル数:1,500人博報堂オリジナルパネルHi-Panelを使用)
調査方法:Web 調査
調査期間:2005年9月29日~10月3日
そもそも地理的制約を受けない「放電コミュニケーション」なのに、なぜ都市部に絞っての調査なのだろう?これにはすごく違和感を感じる。そもそも「Hi-Panel」の説明がない。調査票もないし・・・。
人々の生活や価値観が多様化している状況で、この様にワンワードで表現することはそろそろ無理なんじゃないかと思う。このリリースの元となった分析は、やはり「生活者」を分析したと言うよりも、それを取り囲む環境・テクノロジーの変化を捉えて分析したと言えよう。その分、「今更そんなことを捉えてリリースにしてもなぁ・・・」と感じてしまう。
とはいえ、このように総括的な分析をする試みはマーケティング的にも面白いし、自分の気がつかなかった部分に言及していることも多く、読み物としてもおもしろい。年末の一つの風物詩とも言えるかな。
さて、このリリースの分析をあなたは、あるいはあなたの会社や学校では、その活動に活かせそうですか?
参考リンク
- このプレスリリースの原文はこちら。
- 「生活予報2006 放電コミュニケーション~自己活性化する生活者たち」は、2005年12月20日に博報堂より刊行される予定
yamaさん いらっしゃいませ~
刺激もない割にはマイナスな気分になる仕事中心の生活、そんな日常をぶっ飛ばす放電のような活動をしたい!のですが、コミュニケーションの放電ってのはなんとなくイメージが合わず・・・。
でも、そのネーミングに負けないような激しいコミュニケーションが出来たらうれしいですね!
http://kira-ism.seesaa.net/
鏡味正明さん いらっしゃませ~
「博報堂生活総合研究所」はご指摘の通り、伝統的ともいえるマーケティング業界の大家です。でも、最近は同様の企画が増えたり、情報過多状態の中でちょっと埋もれかかっている感じですね。
応援しましょう!
http://kira-ism.seesaa.net/
おはようございます。
先日はブログに訪問していただき、ありがとう
ございました。
放電コミュニケーションという言葉は、たしかに
実態とマッチしていないような気がしますね~
自分もブログで日々ものすごい放電してるわけ
ではないですし(^_^;
でも、微弱電流でもそれに対する反応があるのは
うれしいことですね!
これからも宜しくお願いします。
http://blog.livedoor.jp/yama233/
「博報堂生活総合研究所」ってマーケティングと生活研究を世に認めさせた立派な組織というイメージです。
その自己イメージにとらわれて、ちょっと放電パワーに勢いが感じられなくなってる感じですね。
もっともっと放電して!